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リード:トヨタ会長、豊田自動織機を6兆円で買収提案

2025年4月25日、トヨタ自動車の豊田章男会長(創業家)が、グループ源流企業である豊田自動織機に対し、非公開化を前提とした買収提案を行ったことが明らかになった。提案額は約6兆円規模で、同社株価終値に対し約40%のプレミアム水準に相当する。豊田自動織機は特別委員会を設置し、財務アドバイザーとともに提案の精査を進めている。


1. 豊田自動織機の企業概要

  • 設立:1926年(大正15年)11月18日
  • 本社:愛知県刈谷市豊田町2-1
  • 事業内容:繊維機械、産業車両、自動車部品、エンジン、カーエレクトロニクス
  • 2024年3月期売上高:3.83兆円、当期利益:2,287億円(IFRS)
  • トヨタ自動車持株比率:約24.7%、創業家・関連会社含め保有比率約30%

2. 買収提案の背景と概要

豊田章男会長は、トヨタグループ内での一体運営やガバナンス強化を目的に、特別目的会社(SPC)を設立し、株式公開買付(TOB)形式での取得を計画している。買収総額は5~6兆円規模とされ、資金は会長個人出資および三菱UFJ銀行などメガバンクからの融資で賄う案が浮上している。

提案を受けて同社は特別委員会を組成。複数の財務アドバイザーを起用し、提案の妥当性や株主利益の最大化を検討中だ。

買付価格は市場終値に対し約40%のプレミアムを上乗せした水準を提示しており、早期の合意形成が期待される。


3. 市場反応と賛否

発表直後の豊田自動織機株は急騰し、終了時点で前週末比35%高となった。一方、少数株主からは「提示価格が過大ではないか」「グループ間の利益相反懸念が残る」といった声も上がっている。他方、企業統治専門家からは「親子上場解消による経営判断の迅速化や長期投資の視点強化が期待できる」と評価されている。


4. 戦略的意義

豊田自動織機はトヨタグループの技術源流としてのシンボル企業であり、エンジン・電子部品をはじめ多様な部品をグループ各社に供給している。完全子会社化によりサプライチェーンの最適化やR&D投資の迅速化、環境技術の共連携推進が見込まれる。


5. 手続きのスケジュール

  • 2025年5月上旬:特別委員会による報告書提出
  • 2025年5月中旬:TOB開始公告
  • 2025年6月末:TOB期間満了/結果発表
  • 2025年夏頃:株主総会で合意可否の最終判断

まとめ

トヨタ会長による豊田自動織機買収提案は、グループ内ガバナンスとサプライチェーン強化を狙った大型案件だ。今後の株主や規制当局の判断が注目されるとともに、買収実現後の連携体制構築が成功の鍵を握る。

投稿者 ten1admin